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物語
約15年間にわたり、ラサの摂政サンギェ・ギャツォはダライ・ラマ5世の死を秘密に伏せ、その名において政令を出し続けた。1682年に宮殿建設の途上でダライ・ラマが他界した際、混乱と工事中断を恐れた摂政は「長期の瞑想に入られた」と発表した。職人たちは工事を継続し、巨大宮殿が完成した1690年代になって初めてその崩御が公表された。
世界の屋根にそびえる白と紅の大宮殿
標高約3700メートルのラサ渓谷の「紅山(マルポリ)」の上に建つポタラ宮は、1645年に着工されたチベット仏教の聖地であり政庁要塞である。13階建ての巨躯は、政治を司る「白宮」と宗教儀礼を司る「紅宮」が巧みに一体化している。
厚さ数メートルにおよぶ石と版築の壁は、ヒマラヤの地震の揺れを逃すため上方へ行くほど内側に傾斜(内転び)して築かれている。
紅宮の内部には歴代ダライ・ラマの遺体を納めた数トンの純金と無数の宝石で覆われた巨大な仏塔(霊塔)が安置され、ヤクのバターランプが放つ無数の灯火が幻想的な祈りの空間を創り出している。
1994年にユネスコ世界遺産に登録されたポタラ宮は、チベットの精神と建築美が結実した唯一無二の至宝である。