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物語
日光東照宮の象徴である陽明門を支える12本の柱のうち、11本は同一の幾何学的なグリ紋が上向きに彫られているが、1本だけ模様が逆さまになっている。「満つれば闕(か)く」という諺の通り、建物は完成した瞬間から崩壊が始まるため、あえて1箇所だけ未完成のまま残すことで魔除けとした知恵である。
東照大権現として鎮座した家康
戦国乱世を平定し250年に及ぶ江戸幕府を開いた徳川家康は、死後に遺骸を江戸の真北に位置する日光山へ移すよう遺言した。北極星の位置から徳川将軍家と天下泰平を守護する神「東照大権現」として祀られたのである。
1630年代、第3代将軍徳川家光による「寛永の大造替」により、全国から集められた名工たちの手で5000体を超える豪華絢爛な極彩色の彫刻群が施された。
三猿の真実と日光杉並木
神厩舎の長押には、世界的に知られる「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿のレリーフが刻まれている。これは全8面から成る猿の一生を描いた彫刻のうち、幼年期の教えを描いた一面である。
高価な灯籠を寄進できなかった大名・松平正綱は、20年以上の歳月をかけて日光街道沿いに数万本の日光杉を植樹し、世界最長の大並木として今日に残る。
1999年にユネスコ世界文化遺産に登録された日光東照宮は、日本の伝統建築と信仰美の最高到達点である。