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物語
ミクロネシア連邦ポンペイ島の東海岸沖に広がるナン・マドールは、サンゴ礁の上に築かれた92の人工島とそれらを結ぶ運河網から成り、「太平洋のヴェネツィア」と称される海上都市遺跡である。最大の特徴は、重さ最大50トンにも達する天然の六角柱状の玄武岩(柱状節理)を建材として使用している点にある。これらは島の反対側の石切場から竹の筏に乗せて海上輸送された。
魔法で飛来した巨石の伝説
13〜17世紀のサウデレール王朝によって建設され、現地の伝説ではオロソーパとオロシーパの呪術師兄弟が魔法で巨石を空中に浮遊させて積み上げたと伝えられる。実際には、モルタルを一切使わずに玄武岩の柱を井桁状(校倉造りのように縦横交互)に組み上げる高度な空積み技術で堅固な城壁が築かれた。
海上王墓ナンドワス
最も威容を誇る遺構は王家の墓所・神域である「ナンドワス」で、高さ8メートルに達する二重の玄武岩の城壁が中央の石室を厳重に守っている。
1628年頃、英雄イソケレケルの侵攻によりサウデレール王朝が滅亡すると都市は放棄され、マングローブ林の浸食に委ねられた。
2016年にユネスコ世界遺産および危機遺産に登録されたナン・マドールは、オセアニア先住民の驚異的な海上土木工学の記念碑である。